忘れられないパン屋さんの想い出(5)

〜クロワッサンに込められた、パン職人のプライド〜

前回は、バベットのバゲットサンドについて書きました。

今回は、いよいよ「クロワッサン」のお話です。

「クロワッサンはね、売れていなくても、プライドをかけて作るんですよ」

そんな言葉を、ご主人がふと漏らしたことがありました。

なるほどな、と私は思いました。

たしかに、ほとんどのパン屋さんにはクロワッサンが並んでいます。

けれど、日々の中で食べる頻度は、それほど高くない気がします。

朝食にカフェオレとクロワッサン。

そんなフランス映画のワンシーンのようなモーニングを、日本で見かけることは、そう多くありません。


■ 焼きたてのクロワッサンがくれる朝の静けさ

けれど、あの焼き色。

発酵バターの香りがふわりと広がり、サクッとした軽やかな食感と、生地の美しい層。

「今すぐ、かじりたい」と思わせてくれるパン。

それが、バベットのクロワッサンです。

手のひらにちょうどおさまるサイズ。

見た目にも、香りにも、食感にも、職人の誇りが感じられる一品でした。

買ったその場でベンチに腰掛け、温かい紅茶とともにひとくちずつ味わいたくなる。

そんな朝のひとときに、そっと寄り添うパンでした。


■ 本場の人も驚いたクロワッサン

ある日、お店に外国の女性が2人来店し、クロワッサンを買っていきました。

あとで聞いたところ、なんとフランスの方だったのだとか。

しかも、

「本国のクロワッサンよりおいしい」

とおっしゃっていたという話を聞いて、なんだか自分のことのように嬉しくなってしまいました。

パンにこだわりのある方が、そう言うのです。

「やっぱり、バベットのパンはすごいな」と、あらためて思った瞬間でした。


■ クロワッサンのような、ていねいな日々

クロワッサンは、日常の中で「少しだけ贅沢な気持ち」になれるパンだと思います。

だからこそ、そこに宿る丁寧さや誇りを、五感で味わえることが特別なのです。

ティープリーズの紅茶も、そんな存在でありたいと思っています。

朝の光の中で、焼きたてのクロワッサンと一緒に、静かな時間を味わってみてください。

それだけで、1日がふわっとやさしくほどけていきます。

次回は「カンパーニュ」について綴ります。

どうぞお楽しみに。


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