忘れられないパン屋さんの想い出【11】

【記憶に残るチョコレート】

バベットさんでの営業から始まった、私の原点

🔳 はじまりは「自分のブランド」を立ち上げる少し前

私が「バベット」さんで営業を始めたのは、自身のブランドを立ち上げる少し前のことでした。

当時は、セレクトして仕入れたものをそのまま販売していましたが、実はもうひとつ、心に決めていたアイテムがありました。

それが、チョコレートです。

「紅茶のお店なのに、なぜチョコレート?」

そう不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。

🔳 長年の夢:一粒のショコラに魅せられて

チョコレートを扱うことは、私にとって長年の夢でした。

以前勤めていた会社で、海外出張帰りの紳士な方々から時折いただくお土産。それが「ボンボンショコラ」との出会いでした。

パッケージの華やかさ、一粒ひとつぶの個性ある形と味わいの虜になってしまったのです。

当時は、男性がこれほどセンスの良い贈り物をさらりと選ぶのは珍しい時代でした。

「日本でも、こんな素敵な振る舞いができる大人が増えたらいいな」

そんなことを思っていました。

単なるスイーツではなく、大人のユーモアとセンスが溢れる贈り物として、チョコレートの可能性をずっと頭に描いていたのです。

🔳 家族3人で分かち合った「一粒の宇宙」

それからは、ショコラ専門店を訪ねたり、テイスティングクラブで世界中のショコラティエの味を研究したりする日々が始まりました。

特に印象に残っているのは、自宅でのテイスティングです。

当時まだ4〜5歳だった娘と夫、そして私の3人で、たった一粒のチョコレートを切り分けて味わっていました。

一人ひとりが感想を言い、ノートに書き留めます。

丸々ひとつを食べていたら感じられなかったかもしれない、一粒の中に広がる豊かな味わい。この経験はとても刺激的で、チョコレートの奥深さに驚かされました。

🔳 運命の出会い:カカオ100%の衝撃

ある日、街でたまたま入ったチーズ屋さんで運命の出会いを果たします。

それが、今回お話しする「記憶に残るチョコレート」でした。

それはイタリア産のもので、10センチ四方の美しいパッケージに収まった25gのチョコレート。

カカオ100%から40%までのラインナップがあり、カカオときび砂糖が基本の、極めてシンプルな素材で作られています。

なかでも衝撃的だったのが、カカオ100%、つまりお砂糖が一切入っていないチョコレートです。

小さなかけらを舌に乗せてゆっくり溶かすと、苦味ではなく、カカオの深みと素材そのものが持つ甘みがじわりと引き出されてきます。

🔳 志に共感し、自ら仕入れる決意

そのチョコレートの背景を知り、私はさらに引き込まれました。

この会社は遺伝子レベルまでカカオの研究をし、栽培から製品に至るまで自社で手掛けています。さらに、現地の方々の健康や環境に配慮しながら、芳香豊かなカカオの再生にも取り組んでいたのです。

輸入業者の方を訪ねて直接お話を聞き、「自分でもこの価値を伝えたい」と仕入れを決めました。

🔳 「売れないよ」という言葉を覆した、本物の力

手始めに通販からスタートし、バベットさんにも置いてもらえることになりました。

ところが、ご主人からは「こんなマニアックなもの、売れないよ」と言われてしまいました。

そんな声にも負けず、まずは様子見でおいてもらうことにしました。

するとある日、ご主人が驚きの表情でこう言ったのです。

「……これ、ポツポツ売れるんだよね」

私は心の中で「してやったり!👍」とガッツポーズ。

本物の価値を求める方は、ちゃんと見つけてくださるのだと確信した瞬間でした。

この続きは、また次回にお話しさせていただきますね。


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