さてさて、ハードトースト、パンドミの次は――イギリスパン。
蓋をせずに焼く、山型のパンですね。
「イギリスパン」という呼び名は日本独特のもので、本国では White bread と呼ばれ、もっとも一般的なパンを指すそうです。
イギリスの番組では、薄くスライスしてカリカリに焼いたトースト🍞をよく見かけます。
バベットのイギリスパンは“ヒキ”があって、トーストにしてもサンドイッチにしてもグッド。
もちろん、トーストしたパンでつくるサンドイッチも美味しかったです。
私はいつも、6枚切りにしてもらっていました。
通ううちに、顔馴染みの方も増えてきました。
国立から自転車で来るアートなご夫婦。
大学にお勤めの双子の姉妹。
画家。過去を秘めた謎のおばあさま。
ちょっと名の知れたパティシエに、建築家などなど。
不思議なことに、どの方も例外なく「料理が好き」でした。
国立から来ていたご夫婦とは、
いまでも忘れられない会話があります。
――ひよこ豆やレンズ豆🫘などの缶詰、
その汁を「使う派」か「捨てる派」か、という話。
確かご夫婦は“使う派”、バベットのご主人は“捨てる派”。
私はというと……捨てる派だったけれど、最近は使うことも。
大学にお勤めの双子の姉妹さんは、いつも自前の袋を持参して、
「パンの焼いた耳のかけらも美味しいの」と嬉しそうに言っていました。
それを聞くバベットのお二人も、本当に嬉しそうだった。
実際、その通りなのです。
姉妹さんはインドにもよく行っていて、
現地で紅茶を買って帰るのが常だったようです。
お話の内容はどれもレアで、聞いているとウキウキしてしまいました。
バベットにも紅茶が置いてありました。
缶入りの Ahmad(アーマッド)。英国紅茶ブランドですね。
お店に置いてあったのはダージリン、アッサムぐらいだったと思います。
アーマッドも、美味しいですね。
通い始めた頃の私は、紅茶の講師の資格を取ったばかり。
見るもの聞くもの、すべてが刺激的で興味が尽きませんでした。
イギリスパンの次はレーズンブレッド。
生地は特に甘くはありませんが、ほどよい量のレーズンが入り、
そのままでも美味しかったです。
パンと紅茶と、あの人たちとの時間。
ふと思い出すと、ふわりと温かくなります。
次は、いよいよバゲットの想い出を。
では、今日はこのへんで。

